月刊ぎふと、6月号(P68)掲載されました。 全6ページ。

★今回のテーマ
●シニア市場を活かすの発展の鍵
●今後はシニア市場の声を正確に吸い上げて、かゆいところに手が届くサービスを提案
●シニアの「概念」にだまされない。数字に表れないシニア層の実態を理解する必要がある
インタビュアー
CSN企画 代表 富田眞司氏
【富田眞司】今回のインタビューは、シニア層の住みやすい生活を提案している森万見子さんです。どのようなサービスを展開しているのですか。
【森万見子】サービスの中心としてシニア向けパソコン教室「パソカレッジ」を都内に2店舗、FCで3店舗運営しています。
(http://www.pasocollege.com/)
また、インターネットやデジタル機器の操作が難しい等、教室に通っている方の意見を吸い上げて商品企画やウェブユーザビリティのコンサルティング・サイト構築の企画などもしています。
(http://www.usability4s.info/)
(森万見子写真)
全てのシニアはもっと生活を楽しく過ごすべき。
シニア層には、毎日がワクワクする生活を提案しています。シニア層にサービスを提供する企業に対しては、シニア層がより良い生活ができるようなサービスを求めています。
元々私はネット(EC)システムの営業をしていました。その時は「本システムを使えば顧客満足度があがります」と言っていたのですが、実際、自分がパソコン教室に入り、運営していく中で「お客様が喜ぶ以前に、実はインターネット自体が使えないのでは?」という疑問が浮かびました。そして、生徒さんがインターネットを難しいと感じるのは「難しく考えさせてしまう」企業側の問題があるということに気が付いたのです。そこで、以前の経験を活かし、各企業にシニアを視野に入れたウェブサイトの企画・構成・運営を提案しています。
また、最近ではウェブだけにとどまらず、シニアに使ってほしい、シニアに喜んでほしい、という気持ちがある商品やサービスのグループインタビューなども行っています。
【富田眞司】なぜ森さんはシニア層を視野に入れたサービスを提供しているのでしょうか?
理由には3点あります。
一つ目は私の壮大な計画です。私のモットーに「かっこいいオトナが増えたら子どももかっこよくなる!」というのがありまして、まず素敵なオトナを増やして日本をよくしようという計画です。学ぶこと、生きることを楽しむ大人って格好いいですよね。
次に、自分がシニアになったときに、過ごしやすい方がいいですよね。自分の50年後を視野に入れて「歳をとったからあきらめる」ことが少しでも減ればいいなと思っているためです。目指せ「スーパーばーちゃん」なんです(笑)
最後に、パソコン教室でシニア・シルバー層と付き合ううちに、その知識を次の世代に伝えてほしい!と思うようになったからです。そのためには伝えるインフラがしっかりしていないといけない。伝えるために、その環境作りをしようと考えています。シニアの方々が今までの経験を素敵な形で次の世代に引き継ぐ手伝いをしていきたい・・・と思っています。
シニアは元気!
【富田眞司】少子高齢化は、現在の日本の課題となっていますね。実際、シニアというのはどのような人たちを指すのでしょうか。
アメリカではシニア層というと55歳くらいからを指します。日本では定年を迎えた60歳以降だと考えられています。金銭的にも時間的にも若い層より余裕のある人たちとして
具体的な数字では60歳以上の平均貯蓄高は2332万円、30代の貯蓄高は719万です。時間も若い方よりもっているシニア層の可処分所得の高さは言うまでもありません。
【富田眞司】シニア市場とシニア層の特徴について教えてもらえますか?
シニア市場は現在1400兆円と言われています。そのうち、介護を必要としている人は4分の1です。ほとんどは、元気なシニア層です。
シニアというとどうしても介護というイメージがついてしまいますが、実際には元気で、可処分所得の高い層が多いのが特徴です。
健康にも非常に気を使っていて、ものすごく元気な方たちですから、色々なお稽古事や仲間と趣味を楽しむなど、非常に活動的です。
購入に関しては、自分が気に入ったものであれば高額商品であっても買いますが、納得しないものは絶対に買いません。金銭的に余裕があっても無駄遣いや衝動買いといったことはしないのが特徴ですね。
アクティブシニア層の特徴は一般的に
・ 外出が好き
・ 実年齢を10歳若く考えている
・ 自分への投資をする
と言われています。
シニアを客観的に捉える必要が。
【富田眞司】今まで一般的に考えられてきたシニアの姿とシニア層が考えるシニアと実際は大分違うようですね。
【森万見子】一般的な「シニア層」というのは、日本昔話に出てくるような感じですね。シニアとはこうあるべきだという教科書的なシニアの捉え方をします。おじいちゃん、おばあちゃん、という表現が似合うシニア層です。
シニア層にとっては自分自身ですので、なかなか客観的に捉えられないのが現実です。シニアの中で「シニア」イメージが固定されてしまっているためです。
「現代のシニアは・・」と報道している時点で「従来のあるべきシニア層」との違和感を覚えています。その時点でナマの姿を見えづらくしてしまっている。
実際に弊社でアンケートを取ったところ、55歳から65歳の方は10歳くらい若く考えていて、自分のことを「シニア」と捉えていないという結果が出ました。
先日、シニアの方と山登りの話で盛り上がったのですが、「60歳過ぎて山登るなんてすごいわね」とおっしゃるんですよ。その方も60過ぎて山登りをしているのに!「年齢、変わらないじゃないですか!」と返すと「そうよねぇ、でも、その年でそういうのって聞くとすごそうに聞こえるじゃない?」実際、シニア層ですら自分がシニアであることを認識していないのです。「私はシニアという世代らしいけど、私には関係ないわ」と。
【富田眞司】となると、「シニア向け商品」というのはうまくいかないのでしょうか。
【森万見子】「シニア向け」と謳ったサービスをしてしまうと、「自分とは関係のないことと」と見向きもされないことがあることは事実です。「シニア向け」というと機能が限定されていて使いやすそうに見えるのですが、現在のアクティブシニアは「シニア向け」では満足できません。「シニアの私でも無理なく使える」ということが大切なのです。そもそも、「シニア向け」と特別扱いされるのは余り好まれません。
シニアは特別ではない
シニアは特別で無く、私たち若者の先輩なんだと思っています。だから、やたらと気を使うのではなく「さりげない優しさ」が必要なのだと思っています。
それなのに、「使えない人が悪い、使えないのであれば使えない人のための物を作ろう」と機能を限定する。
もっと解りやすければ、誰にでも使えるのに!と思いませんか?
つまり、シニア向けサービスというのは「特別」に用意するのではなくて、通常若者向けであったり、シニアの人がほしいな、やってみたいなというサービスを、さりげなくシニアのことを考えて提供するだけなんだと考えています。
シニア向けのサービスとは当たり前のことを、当たり前のようにするだけ
また、「シニア向けサービス」と考えるとシニアの人たちは自分の年齢を再認識しなくてはいけませんから、どうしても抵抗感があるようです。よっぽどお得なジパング倶楽部(JR)などでないと・・(笑) 私は、「シニア向け」とくくる必要はないと思うんですよ。
しかし、実際「若い」と思っていても寄る年波には勝てない部分もある。そういうところを気づかせないさりげなさが、求められているんですよね。
シニア層によく聞いてみると「若者と同じような服を着たいけど二の腕やお腹が気になる」「旅行に行きたいが体力的にもたない」など、数値には表れないネガティブな声が聞こえてくるのも事実です。その表に出ない意見をいかにくみ上げるかが企画力です。
コミュニケーションツールになる商品、孫に対するギフト、自分が参画した商品。これからは納得できる商品が売れる!
【富田眞司】これからおもしろくなりそうなシニア市場の方向を教えてください。
【森万見子】例えば持っていることで誰かと話題を作れる、これはコミュニケーション商品です。シニア層は仲間が多いですから、持っていることがステイタスというよりも持っていること自体が会話のネタになるものやその商品を通じて会話が作れるものが受けます。
また、孫とのコミュニケーション、これも見逃せない商品です。携帯電話などは孫と同じものを持って孫とのコミュニケーションツールとして利用したいという意向も増えています。
それから、孫へのギフトですね。少子高齢化で子どもがどんどん少なくなっていますので、あげるモノはどんどん高価になっている。
あと、「関わらせる」というアナログのコミュニケーションを作る方法もあるのですが・・・時間の関係上割愛します。ご興味のある方はご連絡いただく、ということで。
シニア市場を狙うならばこの3つの観点から商品を開発すべきです。
また、インターネットショッピングもこれから伸びていくと予想されます。3年前は「ネットで買うのは抵抗がある」と回答していた方が、「新しいことに挑戦したい」「パソコンをさらに使いこなしたい」という理由で、最近ネットショッピングを始める方が増えてきました。しかし、実際にインターネットに向かって商品を購入しようとすると、操作性の難しさであきらめてしまう方が多いのも現実です。
【富田眞司】確かに、インターネットで購入しようとすると操作が難しい点って多いですよね。シニアにとってインターネットのどのような部分が使いづらいのでしょうか。
【森万見子】まず使いづらい点には3つの問題点があります。
1) 心の問題
2) 技の問題
3) 体の問題
シニアにとってインターネットが使いづらいというのは、この3つの問題に集約されます。
「心の問題」というのはサイトを見たときに恐怖感を持ってしまうということ。例えば見慣れないカタカナが並んでいたり、サイトに提示してある画像が意味をなさない場合に「怖い」と感じ、先に進めなくなってしまいます。
「技の問題」というのは技術不足による問題です。プルダウンメニューなど慣れてしまえば簡単な操作がなかなかできないということがあげられます。
「体の問題」というのは従来から指摘されているように、老眼の問題であったり、マウス操作の問題であったりします。
(以下略)